論文解説

非侵襲的臀部のリフトアップについて

【Journal of Cosmetic Dermatology】2018 Nov 1;17(11):1229-1232.掲載
題名High Intensity Focused Electro-Magnetic Technology (HIFEM) for Non-Invasive Buttock Lifting and Toning of Gluteal Muscles: A Multi-Center Efficacy and Safety Study
著者Jacob C MD, Kinney B MD, Busso M MD, Chilukuri S MD, McCoy JD NMD , Bailey C, Denkova R MD
英文https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30500146

論文の要旨

目的

  運動を除いて、臀部の美的容姿を改善する唯一の手段は外科的治療のみであった。本研究では、臀筋のリフトアップ及び引き締めにより臀部を改善する非侵襲的解決策として、高密度焦点式電磁(HIFEM)治療の有効性を評価する。

対象と方法

 合計75名の被験者は30分間の臀部治療を4回受けた。治療前、4回治療後、さらに1か月後に評価を実施した。評価の基準として体重測定、デジタル画像及び患者の臀部に対する評価と治療満足度アンケートのデータを用いた。VASを用いて治療中の快適度が評価された。

結果

 臀部評価アンケー トの結果(回答範囲4-28点)、治療前の13.1±5.7から、治療後には18.4±5.2、フォローアップ時では18.9±5.1まで向上したことが示された。治療満足度アンケート(回答範囲1-7点) の平均スコアは、治療直後に5.2±1.2、治療1か月後に 5.1±1.3だった。臀部形状に不満を持っていた患者の85%は4回目の治療直後に有意な改善を報告した。全ての被験者は、4回治療直後に臀部のリフトアップと引き締まりを感じた。結果は、治療後1ヶ月のフォローアップ時まで維持された。体重の大きな変化は無かった。デジタル画像では、大部分の患者で臀部の美的容姿の改善を示した。副作用は報告されなかった。

結論

 この結果は、調査対象装置が非侵襲的に臀部の美的容姿を安全かつ効果的に改善させることを示している。本治療は、見た目の有意な改善をもたらしただけでなく、患者の自信と満足度も向上させた。本施術は臀筋の引き締め、形状、リフトアップ及び引き締まりに対する改善を求めている患者に相応しいと考えられる。

痛みについて

 この研究では、痛みについても調査されています。

 患者は、平均2.01VASスコア(「不快感は全くない」または「ほとんどない」に相当)で治療が快適なものであったと報告されています。

 臀部の治療を行なったスタッフの意見を聞くと、ややこの研究結果よりも痛みがあったようです。

論文の症例写真

論文に掲載されている症例写真です。

左 治療前
右 4回治療後1ヶ月後

ミシン目はお尻の溝の改善及びリフトアップを示しています。

左 治療前
右 4回治療後1ヶ月後
31歳女性

論文の考察

 結果は、全ての測定基準において統計的に有意な改善の傾向を示しています。これは、患者の臀部の見た目に対する意識、自信及び全体的満足度を実感する方法としてプラスの効果があることを示唆しています。

 また治療前の時点で、自身のお尻の形に元々不満を持っていた患者が、最も治療によるメリッ トを得ることができる理想的なグループであると示唆しています。要するに、お尻の形に不満を持っている方の方が、治療による満足度が高いです。

論文の冒頭で、臀部のリフトアップ術の人気が急速に上昇しているが、従来の治療は全て外科的治療のみで、さらに臀部の皮下脂肪を増加させることに焦点をあてているだけで、エムスカルプトのように臀部の形状及び全体的な美的容姿に大きく影響する臀筋を標的とはしていないということにも触れています。

まとめ

エムスカルプトの臀部に対する効果と安全性に関する論文を1つ紹介しました。
腹部に引き続き、臀部に対しても安全性があり、見た目を改善するという点の効果が高いことがわかって頂けたと思います。