論文解説

MRIによる筋肉&脂肪への同時効果について

【Lasers in Surgery and Medicine】2018 Oct;10.doi:10.1002/lsm.23024.掲載
題名High Intensity Focused Electro-Magnetic Technology (HIFEM) for Non-Invasive Buttock Lifting and Toning of Gluteal Muscles: A Multi-Center Efficacy and Safety Study
著者Brian M Kinney MD, Paula Lozanova MD

論文の要旨

目的

新しい高密度焦点式電磁(HIFEM)技術の評価

方法

被験者22名がエムスカルプト装置腹部治療を4回受けた。
治療前、2ヶ月後および6ヶ月後にデジタル写真を撮影した。
MRIで、腹筋および脂肪組織の冠状断面画像の寸法を測定

結果

MRIでは、治療2ヶ月後に筋肉の内側縁から測定した結果、脂肪組織厚が平均18.6%減少、腹直筋厚が 15.4%増加、腹直筋離開が10.4%改善と、統計的に有意な (全て P > 0.0001)変化が観察された。
「標準」とされる BMI値18.5-24.9の患者においては、より有意な改善が観察された。
6ヶ月後のフォローアップから得られたMRIデータ により、変化が長期間に継続することが示された。
メジャー測定により、平均3.8cmの臍下の腹囲減少が確認された。
被験者の体重における有意な変化はなかった(平均-0.5 lb; P > 0.05)。
有害事象は報告されなかった。

結論

非常に正確な診断法とされるMRIにより、治療2ヶ月 後および6ヶ月後に、ダイエットとは無関係の筋肉の成長、 脂肪の減少、および腹直筋離開の改善が明らかにされた。

体の輪郭に影響を与える脂肪と筋肉について(論文より)

この論文では、脂肪と筋肉について、以下のように述べられています。

皮下脂肪は、人体の約25%を占めるため、患者の体の輪郭に影響を与える重要な要因である。
しかし、筋肉組織は人体のより大きな部分を占めている(男性42%/女性36% )。そのため、個々の体型によって、患者の筋肉状態は 美的外見を形成する上で、脂肪と同等もしくはより重大な役 割を果たしている。
それにもかかわらず、現在のところ、筋肉を自然に強化するための方法は身体的運動のみである。

従来の痩身治療は、「脂肪」にのみ働きかけるもので、筋肉に対する治療はありませんでした。

論文のデータ

対象となった22名の患者データ

・2−5日間隔で4回の治療を受けています。
・腹囲は臍下5センチの位置を測定
・副作用 6名(初回の治療から1日後の軽度の筋肉痛)
・筋肉痛は24時間以内に治まった
・生活習慣や食事摂取量における大きな変化はない

被験者の平均の変化(治療後2ヶ月後)

・脂肪厚は18.6%減少
・筋肉厚は15.4%増加
・腹直筋離開は10.4%改善

22名中無作為に選ばれた4名の6ヶ月後のMRIのデータです。
筋肉厚は増加し続け、腹直筋離開も短縮し続けています。

論文中の症例

男性 30歳

左:治療前 右:治療後2ヶ月後

BMI24.8 kg/m²→24.5 kg/m²(2ヶ月後)
体重 -2.2 lb. (-1.2%)
皮下脂肪-30.3%(白線)
筋肉厚+13.7%(緑線)
腹直筋離開-24.9%(赤線)
腹囲-3cm

全ての効果の組み合わせにより腹部が全体的に改善しています。

女性 52歳

左:治療前 右:治療後2ヶ月後

BMI 25.1 kg/m²→24.4 kg/m²(2ヶ月後)
体重 -4.4 lb. (-2.9%)、
皮下脂肪-32.9%
筋肉厚+19.4%、
腹直筋離開-15.9%
腹囲-5.7cm

この患者さんも全ての効果の組み合わせにより腹部が全体的に改善しています。

まとめ

エムスカルプトの腹部の変化をMRIで測定した文献を紹介しました。
エムスカルプトにより腹部組織において3つの同時効果(筋肉が厚くなり、皮下脂肪が減少し、腹直筋理解が改善する)を誘発するという仮説が立てられるだろうと結論づけられています。